会期終了間際となる、モネ没後100年「クロード・モネ ― 風景への問いかけ」を観に行った。

会期は2026年2月7日から5月24日まで。

「そろそろ落ち着いただろうか」と思いながら向かったものの、館内はかなりの盛況だった。

人、人、人。

静かに鑑賞するというよりは、巨大な人の流れの中を少しずつ進んでいく感覚に近い。

それでも、不思議と疲労感ばかりではなかった。

やはり現物――原画の迫力というものは、言葉にし難い何かがある。

印刷や画面越しでは「綺麗な絵」として認識していた作品が、実物になると急に“物体”として立ち上がってくる。

筆致の厚み、絵具の重なり、光の滲み方。

近づくと抽象的なのに、少し離れると突然風景として成立する瞬間などは、写真ではなかなか伝わらない部分だと思う。

とくに印象に残ったのは、チケットにも使われていたカミーユ婦人の肖像だった。

現在のモネ像というと、自然と光を愛し、愛妻家としても語られることが多い。

しかし実際のモネは、必ずしも一途な人物というわけでもなく、かなり恋多き男だったという話も残っている。

もちろん、それだけで作品の価値が損なわれるわけではない。

むしろ興味深いのは、「私たちは何を見て、何を見たいのか」という部分かもしれない。

穏やかな家庭人としてのモネ。

光を追い続けた芸術家としてのモネ。

印象派の巨匠としてのモネ。

現代人は、その中から“見たいモネ”を選び取り、解釈しながら受容しているようにも思える。

それはある意味で、風景画そのものに少し似ている。

同じ景色を見ていても、人によって見えている光は違う。

「クロード・モネ ― 風景への問いかけ」というタイトルは、単に風景画への問いだけではなく、鑑賞者側の視線そのものへ向けられた問いでもあったのかもしれない。

会期終了間際の熱気に包まれながら、そんなことをぼんやり考えていた。